あの噂に隠された運命に涙する

あたしは隣に座っている高見橋くんをちらっと盗み見る。
高見橋くんは、病院生活でせまくなりがちだった、あたしの世界を広げてくれた。
高見橋くんがあたしのスペアになってから、どんどん好きな気持ちが増幅していく。
もし、あたしに自信があったら、自分の気持ちをちゃんと見つめることができるのかな。

「やっぱり、平和が一番だね」
「そうだな」

口にして気づく。
こんなふうに高見橋くんと普通におしゃべりできるのって、やっぱり幸せだし、すごく嬉しい。
舞い上がった気持ちのまま、考えていると、ふとあることに思い当たる。
そういえば、孤高の魔王さんが、この世界を支配しているのに、何でこんなに平和なんだろう。

『おっと、そこに気づかれましたか。さすが、芽衣様です。ここで、恋する芽衣様を全力サポート。ワンポイントアドバイスです。実は、芽衣様は、孤高の魔王様と運命的な出会いを果たしているんですよ!』
「運命的な出会い!?」

スポナビさんのメッセージに思わず、期待が膨らむ。
ドキドキしながら、待っていると。

『なにしろ、この世界を支配した孤高の魔王は、わたくしですから。はい、ネタばらし!』

ええっ!!
スポナビさんが孤高の魔王!?
そういえば、先程のパラメーターで、『孤高の魔王の称号を持つ』と表示されていた。
まさかのぬか喜び。
天国から地獄に突き落とされた気分だった。
その時、思わぬ方面から、救いの光が舞い降りる。