あの噂に隠された運命に涙する



家の周りには、誕生日プレゼントの山と多くの人たちが集まっていた。
とても、家から出ることができない。

「芽衣様、ここはお任せください! ひとまず、郁斗様の家に行きましょう!」

そんな状況を救ってくれたのは、スポナビさんの華麗なるテレポートだった。
そうした経緯を経て。
あたしたちは改めて、有村くんの部屋で、世界発展会議を開いていた。
有村くんの部屋はテレビと本棚があり、二階の一番奥で一番、日当たりがいいらしい。
今日は晴れ。
初夏を感じさせるような光が、部屋の中に注がれていた。
丸いテーブルには、有村くんのお母さんがトレイで持ってきてくれた、お誕生日用のデコレーションケーキと紅茶が並べられている。
あたしは紅茶を飲みつつ、改めて、この世界のことを考えてみた。
地球に似た世界、『スムージーラリア』。
乙女ゲームをもとにしたこの世界は、剣や魔法があり、モンスターや妖精さんたちがすむ世界らしい。

つまり、乙女ゲームファンタジー!!

様々なゲームやアニメなどが混ざったみたいな世界が今、あたしたちの目の前にある。

『芽衣様、そのとおりです。ジュラルミン星人様が、テレポートをマスターするためにも! ファンタジーらしく、テレポートが使えるわたくしのパラメーターを参考にしていきましょう!』

スポナビさんが淡々としたメッセージを浮かび上がらせた。