あの噂に隠された運命に涙する

……あっ!

そこで、あたしははたと思い当たる。

「そうだ……! 肝心の学校行事や部活などのイベントやデートイベント、それにお誕生日イベントはまだ、発生していない!」

出てきた答えに、わくわくと胸が高鳴る。
乙女ゲームでも、体育祭や文化祭、そしてお誕生日は一大イベントだ。

「あとは、ジュラルミン星人さんが現れたことが、重要になってくるのかもしれないな」

はっとして、視線が高見橋くんの声を追いかけていく。
そういえば、有村くんが来たことで、従者のジュラルミン星人さんが現れたんだ。
それに世界の情勢も、妖精警察官さんたちが動いたり、ドラゴンさんたちの三角関係が発生したり、慌ただしかったような気がする。
もしかしたら、転移者さんたちが来ることで、『スムージーラリア』の世界は少しずつ変わっていくのもかもしれない。

「よーし! こうなったら、更なるパラメーターの限界を目指して、突き進むしかない!」

あたしは熱くこぶしを上げる。

「神楽木さん、楽しそうだな」
「うん。あたし、嬉しい時はこうするんだよ!」
「じゃあ、俺も!」

高見橋くんのその声に、妙な引力を感じた。
天啓にも似た直感。
それに突き動かされるようにして、こぶしを突き上げた高見橋くんがふわりと笑う。
どうしよう。
顔が熱い。
高見橋くんの笑顔は相変わらず、世界を包む夜さえも吹き飛ばしてしまう。
太陽に似た温かさと魅力に満ちていて、とてもまぶしい。

『芽衣様、すばらしいです。では、ここで一つ、新たな始まりを告げる一句、もとい選択肢を!』

病院という場所に似つかわしくないくらい、スポナビさんはハイテンションなリアクションを見せる。

『スポナビとデートする』
『スポナビとデートする』
『スポナビとデートする』

スポナビさんのシンプルなデートアピールに、あたしは初めて触れた気がした。