あの噂に隠された運命に涙する

「妖精警察官さんたち、大丈夫?」
「はい。みんな、無事です。ですが、芽衣様、ドラゴン様たちの戦いが始まるのはすごく困ります。このままでは、妖精警察署だけではなく、この町そのものが破壊されてしまいます」

妖精警察官さんたちは困り果てたように言葉を落とす。
すると、『はいはい、待っていました』とばかりに、スポナビさんのキラキラメッセージが飛び出してきた。

『お待ちかねのイベントが発生しました! 妖精警察官様たちが救いを求めています! 芽衣様に奇跡を願いました! 運命の女神の機能で、奇跡を起こしますか?』
「運命の女神?」

あたしは促されるまま、『運命の女神』の機能を確認する。
すると、そこには『奇跡を起こす』の項目が青く点滅していた。
ドラゴンさんたちは相変わらず、ぴりぴり険悪ムード。
あたしたちの命はもはや、風前の灯のごとし。
前代未聞なドラゴン騒動は、とどまることを知らない。
このままでは、現実世界のあたしたちの町も滅びてしまう。
どうやら、ここは奇跡にすがるしかないみたい。
あたしは迷わず、その項目を触れる。
すると、思わぬメッセージが表示された。

『ドラゴン様たちはしゅんとおとなしくなり、人畜(じんちく)無害化(むがいか)とした』

『運命の女神』機能の奇跡コントロール、恐るべし!
人畜無害化とは、人や動物に対して害がないこと。
もしくは、人に何の影響も及ぼさない、おとなしい性格の人のことを指すんだ。