あの噂に隠された運命に涙する

「このパターンは……」

高見橋くんの言葉が、こびりついたように離れない。
だって――。

『下校イベントが発生しました! 恋の三角関係が本格化しました! 芽衣様を求めて、ドラゴン様たちが取り合いを始めましたよ!』

あたしの動揺とは裏腹に、スポナビさんがノリノリでイベントメッセージを表示させたから。
下校イベントって、今日は土曜日で、学校は休みなんだけど。
しかも、恋の三角関係ってまさか、目の前にいるドラゴンさんたちのこと?
目まぐるしい展開に置いてきぼりになっていると。

「見つけちゃった。俺の女神、芽衣様。俺は火のレッドドラゴン。これから一緒に腕ずもうをして、愛を育もうぜ」

……驚いた。
レッドドラゴンさんが赤いバラ……じゃなくて赤いとうがらしを出して、ナンパをしてくる。
呆然としていると。

「何を言っている、レッドドラゴン。そろそろ暗くなります。芽衣様、私の背中に乗りなさい。家まで送ろう」
「ちっ。ブルードラゴンはまじめだな」

冷静沈着な振る舞いのブルードラゴンさんに、レッドドラゴンさんは舌打ちした。
おろおろしていると、さらに驚きの展開が舞い込む。

「僕……ブラックドラゴン……。芽衣様と、かけおちしたい……。そして、ゴミだらけのゴミ処理場ダンジョンを一緒に全国制覇したい……」

たどたどしい口調で、大胆な告白をしてきたのはブラックドラゴンさんだ。
かけおちって、恋愛関係の障害を避けるために、二人でひそかにどこかへ逃げることだよね。
出会ったばかりなのに、どうしてかけおちを……?
目をぱちくりさせていると。