あの噂に隠された運命に涙する

『芽衣様、ご安心ください。あの少年は死者ですよ』
「スポナビさん、どうしてここに!?」

予想外の登場に、あたしは驚きの声を出した。

『わたくし、芽衣様がどこにいても、めちゃくちゃ出現率は高めです。芽衣様のためなら、たとえ、次元のはざまにいても駆けつけますよ』

スポナビさんはキラキラと輝く、誇らしげに胸を張るようなメッセージを表示させる。

『あの少年を勧誘するのですね。サポートならお任せください。まずはゲームトリップ方法、つまり、ゲームの世界への転移方法についてお教えしましょう』
「転移方法?」

思わず、しどろもどろになっていると、今度はそれにまつわる内容についての一覧が表示される。

『転移にまつわるエピソードを聞く』
『感動必至。あの日、君が、僕の横を通りすぎていったのは運命の恋の始まりだった。自動ドア様にまつわるエピソードを見る』
『涙腺崩壊。ただ、ありふれた日常に涙があふれ出す。石ころ様にまつわるエピソードを見る』

その選択肢を見た瞬間、疑問と動揺が一瞬で頭の中を埋めつくした。
何故、自動ドアと石ころのエピソードがあるのだろう。
深く考えても答えは出そうもなかったので、あたしは『転移にまつわるエピソードを聞く』に触れることにした。
すると。

『芽衣様。一口に転移と言っても、様々な転移があります。たとえば、ゲームの世界への転移だと、ゲームの世界に死者が入り込むことになります』

スポナビさんは自慢話をするように、転移について語る。