あの噂に隠された運命に涙する

「今は、あたしが創った世界、『スムージーラリア』に来てくれそうな転移者を探したい」
「分かった。それが落ちついたら話すよ。俺のこと、スペアのこと」

そう願っていると、高見橋くんは小指を差し出した。

「約束する」
「うん。待っている」

指と指を絡ませて、あたしたちは想いと誓いを交わす。
それは、二人だけの大事な約束だった。
高見橋くんが食べ終わると、あたしたちはひとまず病室を出て、病院内を歩き回っていた。
あたしが創った世界、『スムージーラリア』に来てくれそうな転移者を探すことにしたのだ。

『この世界を発展させるためには、転移者の協力が必要不可欠です』

ログアウト前に、スポナビさんが必死に訴えていたメッセージを思い出す。
『奇跡コネクト』をクリアするためには、転移者の力が必要になってくる。
病院で亡くなる人は多い。
きっと、この病院も例外ではないだろう。

これから巡り合う死者。

その中には、もしかしたら異世界転移……もとい、ゲームの世界の転移自体に興味を持ってくれる人たちもいるかもしれない。
そう思っていたけれど。
想像以上に、病院は幽霊ばかり。
子どもの霊、大人の霊、地縛霊のような、おっかない霊。
あまりにも多くて、誰が人間で誰が幽霊か、分からなくなる。
通りすがりの人が人間なのか、幽霊なのか、気になって仕方ない。