あの噂に隠された運命に涙する

「送る相手はもちろん、雨雲さんたち……。『お願い、雨雲さんたち。雨を降らして』……送信!」

願い事を込めた神託を、雨雲さんたち宛てに送る。
するといきなり、ザー……と。
突如、雨が容赦なく降りしきった。

「……すごい奇跡だな」

高見橋くんの視線が、昇降口の外に吸い寄せられる。
これで、水不足は解消されるよね。
すると、スポナビさんの温かなメッセージがぽわんと浮かび上がった。

『芽衣様、お喜びください! 好感度が上がったことで、ヤンデレ雨雲様たちがストライキモードをやめました! テレビで、芽衣様とヤンデレ雨雲様たちの熱愛が報じられております! 近いうちに、芽衣様とヤンデレ雨雲様たちの婚約発表がされると!』

くるりと小躍りしそうなほど浮かれすぎたメッセージに、あたしはめちゃくちゃ困惑する。

ただ、神託のメッセージを送っただけで、なんで婚約発表に……。
かなり、好感度が上がったのかな。
神託の機能、恐ろしい。

そう思っていたら、新たなメッセージが浮かび上がった。

『おめでとうございます! カエル様たちの好感度がアップしました!』

なんか、知らないうちに、カエルさんたちの好感度も上げてしまったみたい。

「芽衣様。拙者たち、芽衣様ラブラブファンクラブのゴールド会員でごさる! めちゃくちゃ、芽衣様のファンである!」
「ゴールド会員があるんだ……」

カエルさんの言葉が完全に予想外で、あたしは食い気味に切り返した。

「では、拙者たちはこれにて。近いうちに芽衣様をデートに誘えるように、拙者たち、がんばるでごさる。芽衣様とともに、ドラマチックなラジオ体操部を設立したい」

謎めいた発言を置き土産に、カエルさんたちはぴょんぴょんと去っていった。
ドラマチックなラジオ体操部って一体。
さすがに、未来に大きなトラブルしか待ち受けていないデートの誘いは厳しい。
だけど、あたしはその疑問を早々に封印した。
何故なら――。

キンコンカンコン。

そうこうしているうちに、始業のチャイムが鳴ったからだ。
あたしたちは大急ぎで教室に向かった。