あの噂に隠された運命に涙する



春の陽気も鳴りをひそめつつある朝。

「うわあっ! もうこんな時間!」

いつもより遅れて、あたしは家を飛び出した。
テレビは、ひっきりなしにあたしの話題ばかり。
それを見ていたら、案の定、遅れちゃったんだ。

『登校イベントが発生しました! 高見橋士稀様と一緒に登校しますか?』

あたしは迷わず、『はい』の選択肢に触れる。
スポナビさんはどんな状況でも、出現率が高い。

「神楽木さん、急ごう!」
「うん!」

高見橋くんの声に、あたしは力強くうなずいた。
大通りに続く道を走り抜け、息を切らして曲がり角を曲がる。
公園を横切り、学校のグラウンドが見えてきたところでようやくスピードを落とした。
ここまで来れば、遅刻しなくてすみそう。

「なんとか、間に合った……」

はあはあと肩で呼吸しながら、あたしは言った。
待ちに待った神様ライフ。
その初日から、こんな怒涛の展開が続くことになるなんて。
電柱の近くで、荒い呼吸を落ち着かせようとしていると。

『大恋愛モード、入りました! 愛され電柱様と大接近。電柱様が、芽衣様の恋人になりたそうにしています。恋人になりますか?』

あたしは当然、『いいえ』の選択肢に触れる。
なんというか、すさまじい。
このゲーム、ほんとに攻略対象が多すぎる。
というか、愛され電柱って一体……。
電柱がモテモテ。
つまり、みんなから愛されまくっているってことなのかな。