あの噂に隠された運命に涙する

『では、芽衣様。あなたの世界の名前とその世界を思い浮かべてください。現実世界とあなたの世界が融合した、新しいゲーム体験を楽しめます』

あたしは、メッセージの意味をじっくりと考えた。
位置情報ゲームは、スマートフォンなどのGPS機能を活用して、現実世界の場所とゲームを連動させて遊ぶゲームのことだ。
奇跡コネクトは恐らく、あたしが創った世界の出来事と現実世界を連動させるゲームなのだろう。
つまり、あたしが創った世界で起きた出来事が、現実世界でも反映されるということだ。

「あたしの世界の名前……。『スムージーラリア』にしようかな……」

あたしは目を閉じて、理想の世界を思い浮かべる。

うーん。
地球に似た、乙女ゲームのような世界がいいな。
逆ハーレムがあって、学園の王子様や孤高の王子様から溺愛されたい。

そう思ったら、ぱっと景色が変わる。
辺りを見回すと、そこはあたしの部屋だった。
どうやら、ゲームの世界にトリップしたみたい。

「ここは?」
「あたしの部屋だよ」

高見橋くんの質問に、あたしは部屋をゆっくりと見渡しながら答えた。
いつもの見慣れた、あたしの部屋。
でも、病院に入院してから、ずっと戻っていなかったからか、すごく懐かしく感じる。
それにゲームの世界では、幽霊状態ではなく、実体があるみたい。
様々なものに触れることができる。
感慨にふけていると、ある重大なことに気づいた。