あの噂に隠された運命に涙する

代償というものがある。
何かを手に入れるためには、何かを犠牲にする必要があるのだ。
それを分かっていながら、人は失敗と後悔を繰り返す。
あとで大きな対価を支払うと分かっていても、この現状からぬけ出したかった。
可能性がある限り、人は諦めることができず、追い求めてしまう。
それがまだ十二歳で幕を閉じようとする、あたしの人生の最期に感じたことだった。
あたし、神楽木(かぐらぎ)芽衣(めい)
中学一年生の余命持ちだ。

余命持ちなのに何故、そんなに明るくてテンション高めなのか、って?

ふふ……。
よくぞ、聞いてくれました。
もともと、あたしは入院していて、余命がいくばくもないことは分かっていた。
中学一年生のゴールデンウィーク後。
あたしは自分の体調に異変を感じ、病院の検査を受けた。
すると、不治の病だと発覚。
しかも気づいた時には、既に手遅れ。
進行の早いその病気は瞬く間に、あたしの命をすり減らしていった。
いつも死が隣り合わせ。
その恐怖に震える毎日。
だけど、固く結ばれた死の恐怖は、ある噂を聞いた直後にこぼれ落ちて消えてなくなった。
希望という光で、死の運命を変えられることを知ったから。
思い返せば、それがすべての始まりだった。