「ねえ、お母さん。本物のあたしはここだよ!」
あたしはぐるりと回り込んで、お母さんの隣に立つ。
しかし、お母さんは不安そうに、高見橋くんを見続けているだけだ。
あたしの声には一切、振り向かない。
こんなに近くで話しかけているのだから、あたしの声が聞こえないはずがないのに。
「お母さんってば!」
あたしは強く叫びながら、右手を伸ばした。
しかし、その手は相変わらず、お母さんに触れることはなかった。
「…………っ」
やっぱり、ダメだ。
幽霊だから見えないし、声も届かない。
どう対応したらいいのか、おろおろしていると。
お母さんが心配そうに口を開いた。
「身体は、本当に大丈夫なの?」
「うん。もう、平気だよ」
お母さんが涙ぐんで尋ねると、高見橋くんは小さくうなずいた。
「そう……。よかった……」
お母さんは流れ落ちる涙を拭うことも忘れて、背中に回した腕に力を入れる。
それを見た高見橋くんは、不意にあたしに目を向ける。
「お母さん、心配かけてごめんね。あたしはもう、大丈夫だよ……でお願いします」
あたしはふわりと駆け寄ると、助けを求めるように言い募る。
すると、高見橋くんは小さくうなずいた。
まるでそれは、安心していいからな、と言ってくれているようで。
心細かったあたしの心が凪いだ。
あたしはぐるりと回り込んで、お母さんの隣に立つ。
しかし、お母さんは不安そうに、高見橋くんを見続けているだけだ。
あたしの声には一切、振り向かない。
こんなに近くで話しかけているのだから、あたしの声が聞こえないはずがないのに。
「お母さんってば!」
あたしは強く叫びながら、右手を伸ばした。
しかし、その手は相変わらず、お母さんに触れることはなかった。
「…………っ」
やっぱり、ダメだ。
幽霊だから見えないし、声も届かない。
どう対応したらいいのか、おろおろしていると。
お母さんが心配そうに口を開いた。
「身体は、本当に大丈夫なの?」
「うん。もう、平気だよ」
お母さんが涙ぐんで尋ねると、高見橋くんは小さくうなずいた。
「そう……。よかった……」
お母さんは流れ落ちる涙を拭うことも忘れて、背中に回した腕に力を入れる。
それを見た高見橋くんは、不意にあたしに目を向ける。
「お母さん、心配かけてごめんね。あたしはもう、大丈夫だよ……でお願いします」
あたしはふわりと駆け寄ると、助けを求めるように言い募る。
すると、高見橋くんは小さくうなずいた。
まるでそれは、安心していいからな、と言ってくれているようで。
心細かったあたしの心が凪いだ。



