「神楽木さん、体調はどうですか?」
看護師さんたちに連れられ、いつも診察してくれる担当の先生がやってきた。
「はい。大丈夫です」
あたしはいつものように明るく答えた。
しかし、先生は、あたしの声が全く聞こえていないかのように、振り向きもせずに通り過ぎてしまった。
先生はそのまま、あたしの姿の高見橋くんのもとに近寄っていく。
「はい。大丈夫です」
高見橋くんが、先程のあたしの言葉を反芻する。
すると、先生は安堵の表情を浮かべて続けた。
「そうですか。ただ、この病気の場合、しばらく予断は許さないと考えてもらうのがいいと思います」
先生はそう滑らかに語ってくれた。
その他にも、病気の簡単な経過説明。
現代の医療では、治療が難しい病気だということ。
今後の検査に関する、複雑な説明などを伝えてくれた。
でも、あたしではなく、高見橋くんに対して話しているからか。
自分のことなのに、まるで他人の話を聞いているような心地だった。
一通り説明を終えると、先生と看護婦さんたちは病室から出て行ってしまった。
――まるで、ここにはいないかのように。
あたしには一切、見向きもしないままで。
ぽつりと残されたあたしは、現実に置いてきぼりにされたかのようだった。
幽霊状態になったり、高見橋くんがあたしのスペアになったり、と怒涛の展開。
それでも何とかなる、と楽観視していた。
だけど、改めて考えてみると、意外と大変な状況なのかもしれない。
『奇跡コネクト』、……本当にクリアできるのかな?
たった一日で、生活が一変したあたしは疲れたようにため息をついたのだった。
看護師さんたちに連れられ、いつも診察してくれる担当の先生がやってきた。
「はい。大丈夫です」
あたしはいつものように明るく答えた。
しかし、先生は、あたしの声が全く聞こえていないかのように、振り向きもせずに通り過ぎてしまった。
先生はそのまま、あたしの姿の高見橋くんのもとに近寄っていく。
「はい。大丈夫です」
高見橋くんが、先程のあたしの言葉を反芻する。
すると、先生は安堵の表情を浮かべて続けた。
「そうですか。ただ、この病気の場合、しばらく予断は許さないと考えてもらうのがいいと思います」
先生はそう滑らかに語ってくれた。
その他にも、病気の簡単な経過説明。
現代の医療では、治療が難しい病気だということ。
今後の検査に関する、複雑な説明などを伝えてくれた。
でも、あたしではなく、高見橋くんに対して話しているからか。
自分のことなのに、まるで他人の話を聞いているような心地だった。
一通り説明を終えると、先生と看護婦さんたちは病室から出て行ってしまった。
――まるで、ここにはいないかのように。
あたしには一切、見向きもしないままで。
ぽつりと残されたあたしは、現実に置いてきぼりにされたかのようだった。
幽霊状態になったり、高見橋くんがあたしのスペアになったり、と怒涛の展開。
それでも何とかなる、と楽観視していた。
だけど、改めて考えてみると、意外と大変な状況なのかもしれない。
『奇跡コネクト』、……本当にクリアできるのかな?
たった一日で、生活が一変したあたしは疲れたようにため息をついたのだった。



