あの噂に隠された運命に涙する

『運命の女神』のスキルは勇気のスイッチ。
これからもきっと、つまずいたり、たちどまったり、そんなことの繰り返し。
でも、その先にある高見橋くんとしか見られない景色を見てみたい。

「よし、『スムージーラリア』に行こう!」

あたしは心の中で、『運命の女神』のスキルを使いたいと強く願う。
すると――。

『奇跡コネクトを始めますか?』

目の前に、異世界を思わせるような広大なマップが広がり、紺碧の夜空のような美しい画像が表示された。
その中央にはメッセージ。
さらにその下には、『はい』と『いいえ』の選択肢も浮かんでいた。
あたしが指で『はい』に触れると、ぱっと景色が切り変わる。
辺りをくるりと見回すと、そこはあたしの部屋だった。
どうやら、『スムージーラリア』の世界に来たみたい。

『芽衣様、士稀様。郁斗様とジュラルミン星人様がお待ちかねですよ』

スポナビさんが、いつものように出迎えてくれた。
あたしが振り向いた途端、目の前にハート型のメッセージがデカデカと現れる。

『もちろん、わたくしもお待ちしておりました。芽衣様、アイラブユー! 今日は一日中、わたくしと宇宙空間でデート三昧ですよ!』

ええっ!
何故、デート先が宇宙空間?
しかも、めちゃくちゃ、メッセージが大きいんだけど!

『ご安心ください。宇宙服や酸素ボンベなどは必要ありませんから。酸素がないのなんて、気合いと根性で何とかなりますよ!』

……気合いと根性で、何とかなりません。
絶対に死んじゃうから!!

「……いや、無理だと思う」

うんうん。
高見橋くんの言葉に、全力で同意だ。
うなずいていると。

『芽衣様、士稀様、何をおっしゃっているのですか? 最近の乙女ゲームは、宇宙デートが流行っているんです。夏は浮き輪を抱えて、宇宙空間で泳ぐのは当たり前なんですよ』

小躍りしそうなほど浮かれたメッセージに、あたしはげんなりとする。
とりあえず、そんな話、聞いたこともない。
すると、さも当然のように、スポナビさんはメッセージをきらめかせた。

『宇宙バカンス、最高ー!! 芽衣様、今から月で(もち)つきをしませんか?』
「……それは、無理」

頭の中がぐちゃぐちゃだったけど、あたしは何とかそう言ったんだ。