「朝比奈さん……」
夜になり、小さく聞こえてきた声に、礼央はハッと視線を上げる。
凜香がぼんやりと礼央を見つめていた。
「気がついたか? 気分はどうだ?」
身を乗り出して顔を覗き込むと、凛香は弱々しく微笑む。
「大丈夫です」
「そうか。今ドクターを」
そう言ってナースコールを押そうとした礼央の腕に、凛香がそっと手を添えた。
「……夢じゃなかった」
「え?」
「……熱くて、苦しくて、もうだめかもって思った時、朝比奈さんの声が遠くから聞こえてきたんです。夢なのかなって思ったらギュッて抱きしめてくれて、心からホッとしました。よかった、夢じゃなくて。また会えて、嬉しい……」
礼央は込み上げてくる気持ちをグッと抑えながら、視線を落とす。
「すまなかった。俺がもっとちゃんと黒岩を問い詰めていれば、君をこんな酷い目に遭わせずに済んだのに。本当に申し訳ない」
「いいえ、朝比奈さんは私を助けてくれました。きっと来てくれるって、心のどこかでずっと信じてました。ありがとうございます、朝比奈さん」
そう言って微笑む凛香の頬を、礼央はそっと手のひらで包み込んだ。
「よく無事でいてくれた。怖かっただろう? 助けに行くのが遅くなって悪かった」
「ううん。誰よりも真っ先に駆けつけてくれたんでしょう? 私のために」
「当然だ」
すると凛香は、ふふっと笑う。
「なにがおかしいんだ?」
「やっぱり朝比奈さんだーって思って」
「どういう意味だ?」
「んー、内緒」
「なに!?」
「ふふふ、おもしろい」
声を上げて笑う凛香を、礼央もふっと頬を緩めて見つめていた。
夜になり、小さく聞こえてきた声に、礼央はハッと視線を上げる。
凜香がぼんやりと礼央を見つめていた。
「気がついたか? 気分はどうだ?」
身を乗り出して顔を覗き込むと、凛香は弱々しく微笑む。
「大丈夫です」
「そうか。今ドクターを」
そう言ってナースコールを押そうとした礼央の腕に、凛香がそっと手を添えた。
「……夢じゃなかった」
「え?」
「……熱くて、苦しくて、もうだめかもって思った時、朝比奈さんの声が遠くから聞こえてきたんです。夢なのかなって思ったらギュッて抱きしめてくれて、心からホッとしました。よかった、夢じゃなくて。また会えて、嬉しい……」
礼央は込み上げてくる気持ちをグッと抑えながら、視線を落とす。
「すまなかった。俺がもっとちゃんと黒岩を問い詰めていれば、君をこんな酷い目に遭わせずに済んだのに。本当に申し訳ない」
「いいえ、朝比奈さんは私を助けてくれました。きっと来てくれるって、心のどこかでずっと信じてました。ありがとうございます、朝比奈さん」
そう言って微笑む凛香の頬を、礼央はそっと手のひらで包み込んだ。
「よく無事でいてくれた。怖かっただろう? 助けに行くのが遅くなって悪かった」
「ううん。誰よりも真っ先に駆けつけてくれたんでしょう? 私のために」
「当然だ」
すると凛香は、ふふっと笑う。
「なにがおかしいんだ?」
「やっぱり朝比奈さんだーって思って」
「どういう意味だ?」
「んー、内緒」
「なに!?」
「ふふふ、おもしろい」
声を上げて笑う凛香を、礼央もふっと頬を緩めて見つめていた。



