(黒岩副社長が逮捕されてから、二週間以上経ったのか。なんだか信じられない。変な夢でも見ていた気分)
秘書室へと向かいながら、凛香はこれまでのことを思い返す。
矢島に尾行され、礼央と知り合い、あっという間に事件に巻き込まれた。
日常生活とはかけ離れた、緊迫した時間。
恐怖と不安に苛まれ、それでもふとした時に、礼央に守られている安心感を感じた。
(ちゃんとご飯食べてるかな、朝比奈さんも矢島さんも。睡眠は取れてる? 少しゆっくりできてるといいんだけど)
自分はすっかり日常を取り戻したが、あの二人はまだ取り調べで忙しいかもしれない。
そう思うと、食事を差し入れたいと思ってしまう。
(でももう接点はないんだし。お二人と会うことも、二度とないのかな)
あの二人にとっては事件は毎日のこと。
次から次へとこなさなければいけないだろう。
ほんの少し関わっただけの自分のことなんて、きっとすぐに忘れてしまうはずだ。
それならこちらから連絡するわけにはいかない。
公私混同だと、きっと迷惑がられるだろう。
(よし。気持ちを切り替えて私も仕事がんばろう!)
心の片隅に芽生えた寂しさに気づかぬフリをして、凜香は秘書室のオフィスに戻った。
秘書室へと向かいながら、凛香はこれまでのことを思い返す。
矢島に尾行され、礼央と知り合い、あっという間に事件に巻き込まれた。
日常生活とはかけ離れた、緊迫した時間。
恐怖と不安に苛まれ、それでもふとした時に、礼央に守られている安心感を感じた。
(ちゃんとご飯食べてるかな、朝比奈さんも矢島さんも。睡眠は取れてる? 少しゆっくりできてるといいんだけど)
自分はすっかり日常を取り戻したが、あの二人はまだ取り調べで忙しいかもしれない。
そう思うと、食事を差し入れたいと思ってしまう。
(でももう接点はないんだし。お二人と会うことも、二度とないのかな)
あの二人にとっては事件は毎日のこと。
次から次へとこなさなければいけないだろう。
ほんの少し関わっただけの自分のことなんて、きっとすぐに忘れてしまうはずだ。
それならこちらから連絡するわけにはいかない。
公私混同だと、きっと迷惑がられるだろう。
(よし。気持ちを切り替えて私も仕事がんばろう!)
心の片隅に芽生えた寂しさに気づかぬフリをして、凜香は秘書室のオフィスに戻った。



