この手に愛と真実を〜クールな検事の一途な想い〜【書籍化】

「えー、深月さんの手作りモーニング? やった!」

会議室でぐったり椅子にへたり込んでいた矢島は、凜香が机に並べたサンドイッチや果物、スープやサラダに目を輝かせた。

「すごい、色んな種類のサンドイッチがあるね」
「はい。パストラミビーフと、こっちはバーベキューチキン。アボカドとベーコン、あとはたまごサンドです」
「どれもうまそう。いただきまーす」

矢島は嬉々として次々とサンドイッチを頬張る。

「もう、矢島さんまで。よく噛んでゆっくり食べてくださいね」
「だって、おいひいんらもん」
「食べながらしゃべっちゃだめです」
「ごめんなしゃーい」

隣で礼央が、やれやれとため息をつく。

「やっぱり子犬なんてかわいいもんじゃなかったな。ガツガツガッツキ野郎だ」

呆れて呟いた言葉は、矢島の耳には入らなかったらしい。
目にも止まらぬ速さで次々と平らげていく。

「はあ、うまかった。これで仕事もがんばれそう」
「単純だな、お前は」
「人間ですからね。食事と睡眠は基本です。ね? 深月さん」

そう言って凜香ににっこり笑いかける。

「本当にそうですよ。また作ってきますね、矢島さん」
「やったー! ありがとう、深月さん。さてと、充電完了。早速捜査に戻りますか」

表情を変えた矢島に、凜香と礼央も頷いた。