「深月さん。急な話で申し訳ないが、表向きはしばらく出張中ということにできないかな?」
そう切り出すと、凛香だけでなく矢島も「え?」と聞き返してきた。
「表向きは出張中……。それはつまり、オフィスに出社しないということでしょうか?」
「ああ、そうだ。君にはしばらくここで、我々の捜査に協力してもらいたい。鮎川社長には、私から話をしてお願いする。それとできれば、このままマンションには帰宅せず、別の場所に滞在してほしい」
凛香は驚いたように礼央を見つめたまま押し黙る。
やがてなにかの答えを見つけたように、ゆっくりと口を開いた。
「もしかして、副社長には仲間がいるのですか?」
ハッと息を呑む矢島に、凛香は確信したらしい。
「やはりそうなんですね。経理システムのセキュリティーも突破してデータを改ざんできるほど、コンピュータに詳しい人。億単位の資金を自由に操れる人物。さらには、私が警察と繋がりがあることも既に知っていて警戒している。違いますか?」
矢島は固まったままうつむいている。
大きく息をついてから、礼央は凛香を真っすぐ見据えて頷いた。
「ああ、そうだ」
シン……と静けさが広がる。
凛香の身体が小さく震えているのに気づき、礼央は一歩近づいた。
「必ず君を守ると約束する。どうか信じてほしい」
おずおずと顔を上げた凛香に、礼央はもう一度しっかりと頷いてみせた。
そう切り出すと、凛香だけでなく矢島も「え?」と聞き返してきた。
「表向きは出張中……。それはつまり、オフィスに出社しないということでしょうか?」
「ああ、そうだ。君にはしばらくここで、我々の捜査に協力してもらいたい。鮎川社長には、私から話をしてお願いする。それとできれば、このままマンションには帰宅せず、別の場所に滞在してほしい」
凛香は驚いたように礼央を見つめたまま押し黙る。
やがてなにかの答えを見つけたように、ゆっくりと口を開いた。
「もしかして、副社長には仲間がいるのですか?」
ハッと息を呑む矢島に、凛香は確信したらしい。
「やはりそうなんですね。経理システムのセキュリティーも突破してデータを改ざんできるほど、コンピュータに詳しい人。億単位の資金を自由に操れる人物。さらには、私が警察と繋がりがあることも既に知っていて警戒している。違いますか?」
矢島は固まったままうつむいている。
大きく息をついてから、礼央は凛香を真っすぐ見据えて頷いた。
「ああ、そうだ」
シン……と静けさが広がる。
凛香の身体が小さく震えているのに気づき、礼央は一歩近づいた。
「必ず君を守ると約束する。どうか信じてほしい」
おずおずと顔を上げた凛香に、礼央はもう一度しっかりと頷いてみせた。



