青春の軌跡!



廊下の角を曲がったところで逢坂は、まずはそこで一旦足を止めて息を吐く。
呼吸を整えなければならないほど息が乱れているわけではなかったが、なんとなくそこで一旦立ち止まる。

放課後の廊下に人の姿はない。けれど無音ではない。
楽器の音や微かに漏れ聞こえてくる話し声、机を動かす音や教室内を歩き回る足音、姿は見えなくても人の気配には溢れている。
そんな放課後の廊下で、逢坂は立ち止まっていた。

いつもなら気にならないことがふと胸に迫ってきて、なんだかしみじみと感じ入ってしまうのは、間もなく自分がこの学校を去る身だからだろうか。
そんなことを考えて、危うくしんみりしそうになったところで、逢坂はハッとする。
そういうしんみりした空気は苦手だ。それなのに、自分からそんな空気を作りに行ってどうする。
心の中で己に活を入れてから、逢坂は歩き出す。いつも通りの足取りで、部室へと向かう。

部室が近付いてくると、賑やかな声が廊下まで漏れているのが聞こえてきた。
最近新たに加わった部員のおかげで、部室が大変賑やかになった。
和気あいあいと騒いでいるというよりは、言い合いをしているような賑やかさではあるけれど。