伏見がいつもとは違う事情がわかろうとも、逢坂の中で警戒心が簡単に解けないのは、これまで長らくいがみ合ってきたからに他ならない。
だがまあ、煩く言われないのならばそれに越したことはない。
「なんでもいいけど。あんたの気が変わらないうちに私は行く」
突然スイッチが入って突っかかってこられては堪らないので、逢坂は歩調を速める。
立ち止まったままの伏見を追い越す時、「逢坂」と声をかけられた。逢坂は、怪訝な顔で足を止める。
思えば、こんなに穏やかな声音で伏見に“逢坂”と呼ばれたことがほとんどないので、なんだか変な感じだ。いつもは廊下に響き渡るほどの荒らげた声で“逢坂!!”と呼ぶから。
そんな逢坂の思考がどうやら全て顔に出ていたようで、「名前呼んだくらいでその顔はなんだよ」と伏見が苦笑した。
逢坂に向ける伏見の表情といえば、怒っているか仏頂面か真面目くさった顔かのどれかなので、苦笑とはいえ口角が上がっているのは大変珍しいことだった。
その為、逢坂は目を見開き、その後恐ろしいものを見るような目で伏見を見る。
だがまあ、煩く言われないのならばそれに越したことはない。
「なんでもいいけど。あんたの気が変わらないうちに私は行く」
突然スイッチが入って突っかかってこられては堪らないので、逢坂は歩調を速める。
立ち止まったままの伏見を追い越す時、「逢坂」と声をかけられた。逢坂は、怪訝な顔で足を止める。
思えば、こんなに穏やかな声音で伏見に“逢坂”と呼ばれたことがほとんどないので、なんだか変な感じだ。いつもは廊下に響き渡るほどの荒らげた声で“逢坂!!”と呼ぶから。
そんな逢坂の思考がどうやら全て顔に出ていたようで、「名前呼んだくらいでその顔はなんだよ」と伏見が苦笑した。
逢坂に向ける伏見の表情といえば、怒っているか仏頂面か真面目くさった顔かのどれかなので、苦笑とはいえ口角が上がっているのは大変珍しいことだった。
その為、逢坂は目を見開き、その後恐ろしいものを見るような目で伏見を見る。



