「……外崎さん、さっきの彼に何したの?」
資料室のドアを閉めたところで石田が問いかけると、外崎は振り返って「別に何も」と答えた。
「ただまあ、人は誰しも知られたくないことがあるとだけ言っておきます」
つまり、何かしらの弱味を握っていると。
外崎が“任せてください”と言った時点で、嫌な予感はしていたのだ。
「脅すのはどうかと思うよ、外崎さん」
「人聞きの悪いこと言わないでください。あたし、ちゃんと“お願い”してたでしょ?」
「今回に限った話じゃなくてだよ」
「いつだってあたしは“お願い”しかしてないですよ。相手が勝手にびくついているだけで。いっしー先輩はあたしのことを何だと思っているんですか?」
まったくもう、なんて言いながら、外崎は奥のテーブルへ向かう。
敵に回したら恐ろしい後輩だと思っているよ、と心の中で答えながら、石田は外崎に続く。



