「“今までありがとうございました”って花束を渡すのって、辛気臭い空気になるかな……。どう思う?」
「……なんでそれをぼくに訊くの」
ため息交じりにそう答えた結城に、「だって今ここにはあんたしかいないから」と返す外崎。
放課後の廊下、並ぶ一年生の教室はどこも静かだ。その端っこで、結城は外崎から渡されたカメラを操作している。
カメラに収められているのは笹崎の写真、と外崎は言うが、結城にしてみれば逢坂を写したものに笹崎が写り込んでいるようにしか見えない。
「お別れの定番っぽい感じがするよね、花束って」
「お別れ会の雰囲気を出しちゃダメなんだったら、定番っぽいのは避けた方がいいんじゃないの。ていうかさ外崎、笹崎先輩にピントが合っている写真が――」
「やっぱ定番は避けた方がいいか……。でもなあ、何か渡したいんだよな……かと言ってプレゼントとなると途端に何をあげたらいいかわからないし」
困ったようにため息をつく外崎に、遮られた結城は呆れたように息を吐く。



