「うん、いいんじゃない」

逢坂のその言葉に、石田は体から力が抜けるのを感じ、外崎は飛び上がって喜びを表した。

「あいつのあの適当過ぎる返答を、よくここまでちゃんとした文章に整えたわね。さすが石田」

「ありがとう、ございます……」

照れたように笑う石田から、逢坂は外崎へと視線を移す。

「愛梨も、相変わらず写真のセンスが抜群ね。この全身写真、ただ直立しているんじゃなくそれぞれに動きがついているところなんか、個性が現れていて、面白くてすごくいいわよ」

「えへへ……」

こちらも逢坂からの褒め言葉に、照れ笑う外崎。
そんな後輩達を眺めたところで、逢坂は「よし、じゃあ」と立ち上がった。

「出来立てほやほやのこれを、私は奏太郎に見せてくるわ」

逢坂が手にしているのは、たった今出来上がったばかりの生徒会選挙用の紹介文。それを校内新聞風に仕上げた物。
生徒会からの依頼だったとはいえ、久し振りに新聞部らしい活動が出来たので、全員の達成感もこれまでの比ではない。
逢坂は晴れやかな顔で持っていた物をファイルに入れると、それを手にドアへと向かう。