青春の軌跡!

さて、どうしたものか……と逢坂は思う。
購買部で買ったパンを抱え、片手をドアにかけたままという状態で考える。

開けるべきか、開けないべきか。

開けない選択肢を取った場合、ここに立っていると盗み聞きしていることになるので、次に石田に会った時に居心地が悪い。
しかしここで入って行くのも、それはそれで二人の空気感をぶち壊しそうな気もしている。
まあ、石田と田仲が邪魔されて困るほどの空気を醸すような仲とは思われないが、やはり同じ二年生同士という気安さはあるだろう。
気安いからこそ、話せることもあるだろう。
ひょっとしたら、学年は同じでもそんなに距離の近くない相手だからこそ、話せるようなこともあるかもしれない。

考えた結果逢坂は、ドアにかけていた手を放した。
特に用があったわけでもない。ただなんとなく、もうあと何回部室で過ごせるのだろうなと思ったら、足が向いてしまっただけだ。
今から教室に戻って、友人達の輪に混ぜてもらうかと、足音を忍ばせるようにしてドアから離れたら、石田の力強い声が聞こえた。