カフェオレの缶を握りしめてぐったりと机に突っ伏している石田と、机に所狭しと資料を広げてカタカタとパソコンのキーボードを叩いている逢坂。
外崎が部室のドアを開けて見たのは、そんな光景だった。
「お疲れ様です……」
「ああ、愛梨、お疲れ様」
石田を気遣うようにそっと入室した外崎の声に、逢坂が気付いて顔を上げる。
「……部長、いっしー先輩はどうしちゃったんですか?」
ちらちらと石田の方を見ながら、囁くように外崎は問いかける。それに逢坂は、苦笑しながら答えた。
「生徒会の問題児がね、まあ中々の問題児っぷりで、石田はそれにやられたのよ」
「……なるほど」
とんでもなく大雑把な説明だが、外崎にはよくわかった。
「そういえば来てましたもんね、今日も。あれ、今日はいっしー先輩が呼んだんでしたっけ」
「呼ばないといけないけど呼びたくないから、生徒会室に行こうかなって思っていたところに、向こうから現れたそうよ」
生徒会室は新聞部にとって敵地のようなものなので、言ってみればアウェーだが、部室ならばホームだと気を強く持って始めた石田だったが、逢坂が到着する頃には、その気力は尽き果てていたというわけ。



