音楽室や美術室など特別教室がずらりと並んだ三階の廊下、その端っこに一際小さな教室がある。
ドアを開けると壁を覆い尽くすように段ボールが積み上がっていて、その段ボールに囲まれるような形で無理矢理置かれた長机、パイプ椅子、そしてホワイトボード。
ホワイトボードには赤いペンででかでかと“打倒生徒会!”の文字が書かれていて、そのホワイトボードを右手に見る形で、教室の一番奥の席に一人の女子生徒が腰かけていた。
“打倒生徒会!”の文字を睨み付けて悔しげに唸っている彼女こそ、この教室の主であり、ここを部室としている新聞部部長三年の、逢坂 香月である。
「見る度に唸りたくなるくらいだったら、この文字消したらどうですか?」
そのホワイトボードを背にして座っていた、部員の一人である二年の石田 真木が、先程から獣のように唸り続けている逢坂を無視しきれなくなって、パソコンから顔を上げる。
ホワイトボードに向けられていた逢坂の鋭い視線が、その瞬間石田へと移動した。
「くぅおらぁ、いしだ!!」
「“いしだ”じゃなくて“いした”です、部長」
ドアを開けると壁を覆い尽くすように段ボールが積み上がっていて、その段ボールに囲まれるような形で無理矢理置かれた長机、パイプ椅子、そしてホワイトボード。
ホワイトボードには赤いペンででかでかと“打倒生徒会!”の文字が書かれていて、そのホワイトボードを右手に見る形で、教室の一番奥の席に一人の女子生徒が腰かけていた。
“打倒生徒会!”の文字を睨み付けて悔しげに唸っている彼女こそ、この教室の主であり、ここを部室としている新聞部部長三年の、逢坂 香月である。
「見る度に唸りたくなるくらいだったら、この文字消したらどうですか?」
そのホワイトボードを背にして座っていた、部員の一人である二年の石田 真木が、先程から獣のように唸り続けている逢坂を無視しきれなくなって、パソコンから顔を上げる。
ホワイトボードに向けられていた逢坂の鋭い視線が、その瞬間石田へと移動した。
「くぅおらぁ、いしだ!!」
「“いしだ”じゃなくて“いした”です、部長」



