「…日向くんの彼女は、幸せ者だね。私のこんなくだらない話にもちゃんと付き合ってくれるくらい優しくて、対等に話もできる。…羨ましいな。」
「残念ながら、俺に彼女はいないんだけどね。」
「そうなんだ!モテそうなのに。」
「ん-…どうだろう。学生時代も今も、モテてる!って思ったことないけどな。」
「…そういうこと思ってる日向くんだったら確かに嫌だなって、思っちゃった。」
「でしょ?」
ニッと子供っぽく笑う日向にほっとする自分に気付く。日向の笑顔は、紫月を少しだけ安心させてくれる。多分これは、同期としての信頼がなせる業だろう。
マグカップの残りに口をつけて、飲み干す。一杯分の相談室は、そろそろおしまいだ。
「つくづく私は…『人を好きになる』がわからないんだなって。そうして人を無意識に傷つけているんだなって、改めて思ったらなんだか泣けちゃったってだけの話なの。こんなに仰々しく話してごめんね。」
「…それはさ。」
一歩、日向が紫月との距離を詰めた。
「わからないんじゃなくて、出会ってないんじゃない?」
「出会ってない?」
「うん。まだそういう人と出会ってない、もしくは出会っているけど、告白されていないから梅原さんが気付いていない、とかね?」
「…告白されるのを待ってるっていうのか、そもそもだめじゃない?私、能動的な動きができてないってことになるよね?」
『そうきたか…』と唸る日向の言葉の続きを待つ。紫月はそっと、手の中にあったマグカップをテーブルに置いた。
「出会ったらきっと、自分から動くんじゃないかな、梅原さんは。誰かのせいにするんじゃなくて、わからなくて困ってるよって話せて、聞いてもらえて、じゃあ一緒に考えよっかって言ってくれる人がいたら、その人のことは好きになれそうじゃない?」
日向に言われたことを一つずつ、頭の中で架空の人物に置き換えてみる。いつも言えない不安を話せて、聞いてもらえて、一緒に解決しようと手を取ってもらえる。それはとても理想的で、綺麗で、夢みたいなことのように思える。
「残念ながら、俺に彼女はいないんだけどね。」
「そうなんだ!モテそうなのに。」
「ん-…どうだろう。学生時代も今も、モテてる!って思ったことないけどな。」
「…そういうこと思ってる日向くんだったら確かに嫌だなって、思っちゃった。」
「でしょ?」
ニッと子供っぽく笑う日向にほっとする自分に気付く。日向の笑顔は、紫月を少しだけ安心させてくれる。多分これは、同期としての信頼がなせる業だろう。
マグカップの残りに口をつけて、飲み干す。一杯分の相談室は、そろそろおしまいだ。
「つくづく私は…『人を好きになる』がわからないんだなって。そうして人を無意識に傷つけているんだなって、改めて思ったらなんだか泣けちゃったってだけの話なの。こんなに仰々しく話してごめんね。」
「…それはさ。」
一歩、日向が紫月との距離を詰めた。
「わからないんじゃなくて、出会ってないんじゃない?」
「出会ってない?」
「うん。まだそういう人と出会ってない、もしくは出会っているけど、告白されていないから梅原さんが気付いていない、とかね?」
「…告白されるのを待ってるっていうのか、そもそもだめじゃない?私、能動的な動きができてないってことになるよね?」
『そうきたか…』と唸る日向の言葉の続きを待つ。紫月はそっと、手の中にあったマグカップをテーブルに置いた。
「出会ったらきっと、自分から動くんじゃないかな、梅原さんは。誰かのせいにするんじゃなくて、わからなくて困ってるよって話せて、聞いてもらえて、じゃあ一緒に考えよっかって言ってくれる人がいたら、その人のことは好きになれそうじゃない?」
日向に言われたことを一つずつ、頭の中で架空の人物に置き換えてみる。いつも言えない不安を話せて、聞いてもらえて、一緒に解決しようと手を取ってもらえる。それはとても理想的で、綺麗で、夢みたいなことのように思える。



