「…ちょっと疲れてしまったときに、またマグカップ1杯分、話を聞いてもらえたら嬉しいんだけど、それは日向くんの言葉の答えに…なる?」
紫月の言葉に、日向は顔を綻ばせた。その顔に安堵して、紫月も笑みを返す。
「なるよ。充分、なってる。でも、マグカップ1杯分で終わらなかったときは、延長戦でご飯に行くっていうのを追加してもいい?」
「…いいよ。」
紫色の紫陽花の花びらについた雫が、再び紫月のスカートを濡らした。
「そっち側、濡れない?代わろう?」
「えっ?」
「紫陽花、午後降ってた雨で結構濡れたまんまっぽいから。」
するりと立ち位置が変わる。紫の紫陽花をしげしげと眺めた日向は、はっと何かを閃いたのか『そういえば』と切り出した。
「紫陽花って土に混ぜる水の成分を少し変えたら、色が変わるんじゃなかったっけ?」
「あ、色が変わるって話、聞いたことある。」
「ね。なんだっけ。ちょっと調べる。」
日向はポケットからスマートフォンを取り出した。
「あ、ほら。土壌の性質が酸性だと青系で、アルカリ性だと赤系みたい。」
日向に画面を見せられ、少しだけ肩を寄せて覗き見る。酸性やアルカリ性という言葉がなんだか懐かしくて、文字を一生懸命追いかけてしまい、しばらく黙ってしまった紫月を日向が静かに見つめた。
「あっ、ごめん!面白くてつい読んじゃったけど与える水とか土を変えたらそれに合わせて色が変わるってことでいいのかな。今咲いてる色がすぐに変わるわけじゃないから、色が変わるとしたら来年?」
「みたいだね。時間をかけて、変わる。すぐじゃないけど、確かに変わっていく。」
紫陽花の話のはずなのに、自分に言われてるように聞こえてふと、紫月の歩みが止まる。それに気付いた日向も足を止め、紫月を振り返った。
紫月の言葉に、日向は顔を綻ばせた。その顔に安堵して、紫月も笑みを返す。
「なるよ。充分、なってる。でも、マグカップ1杯分で終わらなかったときは、延長戦でご飯に行くっていうのを追加してもいい?」
「…いいよ。」
紫色の紫陽花の花びらについた雫が、再び紫月のスカートを濡らした。
「そっち側、濡れない?代わろう?」
「えっ?」
「紫陽花、午後降ってた雨で結構濡れたまんまっぽいから。」
するりと立ち位置が変わる。紫の紫陽花をしげしげと眺めた日向は、はっと何かを閃いたのか『そういえば』と切り出した。
「紫陽花って土に混ぜる水の成分を少し変えたら、色が変わるんじゃなかったっけ?」
「あ、色が変わるって話、聞いたことある。」
「ね。なんだっけ。ちょっと調べる。」
日向はポケットからスマートフォンを取り出した。
「あ、ほら。土壌の性質が酸性だと青系で、アルカリ性だと赤系みたい。」
日向に画面を見せられ、少しだけ肩を寄せて覗き見る。酸性やアルカリ性という言葉がなんだか懐かしくて、文字を一生懸命追いかけてしまい、しばらく黙ってしまった紫月を日向が静かに見つめた。
「あっ、ごめん!面白くてつい読んじゃったけど与える水とか土を変えたらそれに合わせて色が変わるってことでいいのかな。今咲いてる色がすぐに変わるわけじゃないから、色が変わるとしたら来年?」
「みたいだね。時間をかけて、変わる。すぐじゃないけど、確かに変わっていく。」
紫陽花の話のはずなのに、自分に言われてるように聞こえてふと、紫月の歩みが止まる。それに気付いた日向も足を止め、紫月を振り返った。



