「うん。あー…なんか、梅原さんの周りの人さぁ、なんか梅原さんに優しい人が少なくない?元彼だってさ、梅原さんと付き合えた幸運な人なのに、それに気付かないで自分のダメさを見つめられなかっただけの人だと思うし。」
なかなか辛辣な日向の物言いに、紫月は目をぱちくりと一度瞬かせた。
「す、すごいなぁ、全然そんな考えっていうのかな、発想?なかった。いつもお姉ちゃんの方が可愛いし、出来がいいって言われて育ってきたから…。」
「本当?」
「あっ…ご、ごめん、またぽろっと。」
元彼のことも、家族のこともずっと頭にあって、それが日向の前だと口から出てきてしまう。口を押さえたところで、出てきた言葉は口には戻せないし、拾い上手の日向はきっと、今度もまた上手くキャッチしてしまうだろう。
「…そっかぁ、そりゃまたひどいなぁ。お姉さんのことを俺は知らないけど、出来も可愛さも比較するものじゃないよ。でもなんか、ちょっとわかってきた気がする、梅原さんのことが。」
「え?」
「どうしてそんなに、自分なんかがっていうスタンスなんだろうって。全然、そんなことないのに。っていうか、もっとちゃんと、大事にされなきゃいけない人だよ、梅原さんは。」
「大事…。」
大事にするも、大事にされるもよくわからない。だからきっと、『好き』もわからない。読書は好きだ。仕事も嫌いじゃない。物事への好き嫌いはわかるけれど、そこが人に変わった途端にわからなくなってしまう。
「うん。梅原さんは仕事のできる頼もしい同期。…まぁちょっと、もう同期だけじゃ嫌だなって、思ってはいるんだけどね。」
「…?」
言われていることの意味が分からなくて、黙ってしまう。そんな紫月に苦笑しながら、日向が言葉を続けた。
「あ、わかってないな、その顔。頭を撫でたのはね、妹や弟みたいで可愛いって気持ちだけじゃなくて、梅原さんが可愛かったからだよ?」
『可愛くない』と言われて育ってきた紫月に降ってきた『可愛い』という響きは、紫月には一度では上手く飲み込めず、目をゆっくりと見開くことしかできない。
なかなか辛辣な日向の物言いに、紫月は目をぱちくりと一度瞬かせた。
「す、すごいなぁ、全然そんな考えっていうのかな、発想?なかった。いつもお姉ちゃんの方が可愛いし、出来がいいって言われて育ってきたから…。」
「本当?」
「あっ…ご、ごめん、またぽろっと。」
元彼のことも、家族のこともずっと頭にあって、それが日向の前だと口から出てきてしまう。口を押さえたところで、出てきた言葉は口には戻せないし、拾い上手の日向はきっと、今度もまた上手くキャッチしてしまうだろう。
「…そっかぁ、そりゃまたひどいなぁ。お姉さんのことを俺は知らないけど、出来も可愛さも比較するものじゃないよ。でもなんか、ちょっとわかってきた気がする、梅原さんのことが。」
「え?」
「どうしてそんなに、自分なんかがっていうスタンスなんだろうって。全然、そんなことないのに。っていうか、もっとちゃんと、大事にされなきゃいけない人だよ、梅原さんは。」
「大事…。」
大事にするも、大事にされるもよくわからない。だからきっと、『好き』もわからない。読書は好きだ。仕事も嫌いじゃない。物事への好き嫌いはわかるけれど、そこが人に変わった途端にわからなくなってしまう。
「うん。梅原さんは仕事のできる頼もしい同期。…まぁちょっと、もう同期だけじゃ嫌だなって、思ってはいるんだけどね。」
「…?」
言われていることの意味が分からなくて、黙ってしまう。そんな紫月に苦笑しながら、日向が言葉を続けた。
「あ、わかってないな、その顔。頭を撫でたのはね、妹や弟みたいで可愛いって気持ちだけじゃなくて、梅原さんが可愛かったからだよ?」
『可愛くない』と言われて育ってきた紫月に降ってきた『可愛い』という響きは、紫月には一度では上手く飲み込めず、目をゆっくりと見開くことしかできない。



