さっきの怒りをぶつけるべく、愛奈にツカツカと寄って頭をこつんと殴ってやった。

「あいたっ……確かにそれはごめんだけど、殴ることはないんじゃないの~?もうっ」

頭をさすりながら頬をプクッと膨らまして訴えてくる愛奈。

か、かわいいけど、さすがにこれは許してもらわないと。

そんなことを思いながら、別の話題を口にした。

「Glowの人たち、まだ来てないの?」

私がそう聞くと愛奈が少しうなりながら言った。

「そうなのよ。あの子たちってマイペースで……こういう絶対大切じゃないっていうか、仕事に影響が出ること以外には時間に超ルーズでね。大体30分は遅れてくるの。だから、集合は10時半にしたんだけど……」

愛奈が少し困ったようにそう言った。

「あはは、そっか」

ちょっと意外過ぎて口から乾いた笑いがこぼれる。

けど、一応これも情報なので心の中のノートにメモしておいた。

「そうだ、蓮花。前においしいお茶を所属している子からもらったから淹れてくるわ。ついでにお茶菓子も」

そう言って立ち上がった愛奈。

「わ、私も手伝うよ!」

そう言って私も動き出した。

設置されていたドアを愛奈が開けて中に入っていったので、私もそれに続く。

中は愛奈の泊まり込みようの生活ルームになっていて、デスクやベッドなどがあって、その奥にトイレやバスルームとプレートがかけられたドアが数個。
入ってすぐのところにはキッチンと小さな冷蔵庫。

ちょっと、完璧に住めるじゃない!ここ。
というかこの会社に入った時から思ってたけど、お金かけすぎじゃない⁉

そんなことを心でツッコミながら、お茶の準備をして社長室の方へと戻ってきた。

お茶をすすりながら「Glowの分は?」と聞くと、「遅いあの子たちが悪い」と愛奈が言っていた。

それから30分。
『Glow』のメンバーはまだ1人も来ていない。

すると、愛奈が急に口を開いた。

「昨日渡した冊子の中のGlowの子たちの情報あるでしょ?」
「うん」
「それね、外っていうか――」

愛奈がそこまで言ったとき、社長室へ入ってくるドアがノックもなく、容赦なく開けられた。