こんにちは、推し様

見惚れていると、『Full Beat』のマネージャーさんに話しかけられた。

「はい、もちろんです」
「じゃあ、あそこの机に移動しましょう。ここで立ち話していたらきっと邪魔になるから」
「わかりました」

そう言って、マネージャーさんが指さしたところに二人で向かう。

机に向かい合って座ると、マネージャーさんが話を切り出してきた。

「私、このダンスグループ、Full Beatのマネージャーの木花(きばな)しおりです」

そう言ったマネージャーさん、木花さんは私に名刺を渡してくれた。

木花さんはとてもスタイリッシュな女の人で、バリバリのキャリーウーマンって感じ。
それに、『Glow』と同じように顔が整っている『Full Beat』の人たちと並んでいても違和感がないくらいかっこよくて美人さんだ。

私も自己紹介とお礼を口にする。

「あ、ありがとうございます。私、本日から前のマネージャーが完治するまでの期間Glowのマネージャーを務めさせていただきます、天海蓮花です。ごめんなさい、私まだ名刺持っていなくて」

そう言うと木花さんはニッコリ笑って「全然大丈夫ですよ」と言ってくれた。

「天海さん……じゃ社長と同じでややこしいから、蓮花さんでもいい？」
「はいっ」

木花さんが優しくそうい聞いてきたので、勢いよく頷く。

「蓮花さんは社長の妹さんなのよね。社長から急にメッセージが来たわ。社長とは高校時代から仲がいいんですけど、二人ともこういう仕事に興味があって、社長が会社を設立しようと思うって言われたときにすぐに会社に飛び込んだんです」

懐かしそうにそう語る木花さん。

えっ、木花さん愛奈の高校時代からの友達なの⁉知らなかったんだけど。

そう思いながら口を開いた。

「そうだったんですね。あい……社長、そんなこと一つも話してくれなくて、知らなかったです！」
「フフ、社長っていう言い方は言いにくいでしょう？愛奈でいいですよ」