こんにちは、推し様

ナギサがいるからか、優しくそう言い荷物の方に行っていろいろとごそごそし始めたミズキ。
少ししてから

「よし、行こう」
「は、はいっ！」

声色が優しすぎて思わず大きな声で返事をする。

二人でエレベーターに乗り込んで、一階に下りる。

「あのさ、足手まといにならないでね」

わわっ、ミズキの毒舌発動だっ！

「は、はいっ!!」
「あとこれ」

私が返事すると間なく私にかばんをあさって大きめの茶封筒を取り出したミズキ。

「？」
「こういうときのために事務所から出されてるお金。マネージャーが持っておくやつだから」

私がキョトンとしていると、そう説明して私の手に握らせてきた。

そんなやり取りをしている間に、エレベーターが一階についていてドアが開く。

ビルを出て、駅前のデパートへ二人で向かった。

推しグループのメンバーと出かけているからか少し胸が高鳴ったけど、これは仕事と呪文のようにと自分に言い聞かせて足を進めた。