こんにちは、推し様

そんな軽い自己紹介をして、ナギサ君の肩を借りてまたスヤスヤと眠りについてしまうエイリ君。

「ごめんね。昨日のエイリのスケジュールがツメツメで朝方まで仕事してたらしいんだ」

エイリ君の頭をポンポンと撫でながら、ナギサ君がそう補足してくれた。

「じゃぁ、次は僕？……七城瑞紀(ななしろみずき)ですっ！正直マネージャーには全然興味ないから、君もそんな気にならないでね。あと最低限話しかけてこないで。媚び売られるのガチ嫌～い」

ミズ君が口を開いたかと思うと、マシンガンのようにそう言ってまたスマホに視線を落としてしまった。

……ミズ君、動画より毒舌ひどくなってない⁉

そんなことを思ってしまう。

ていうか最後は私の最推しであるアヤトだ！

他のメンバーみたいに動画とは違わないこと願う。

でも、そんな小さな願いはすぐにつぶれてしまった。

「………篠宮綾斗(しのみやあやと)……以上」

アヤトもそれだけ言うとすっと興味のなさそうにそっぽを向く。

あぁぁぁぁ～～～希望が～～！

心の中でそう叫びながら、そう思っていることを悟られないように冷静を装って頭を下げた。

「短い間ですが、Glowのみなさんの役に立てるように頑張ります」

勢いよく頭を下げてしまったので、机に頭をぶつけてしまう。

「いたぁ」と頭をこすりながら顔を上げる。

そんな私を見て、愛奈を含め二分の一の人に苦笑い、二分の一の人に「大丈夫かよこいつ」という目で見られた。

「Glowのみんな、蓮花、もう仕事だよ。車出してもらうから下降りて！」

私のミスをごまかすように愛奈が言った。

『Glow』のメンバーが「失礼しました」とぞろぞろ社長室を出て行ったので、私もあわててかばんをひったくるようにつかんで社長室を出た。