「蓮花(れんか)お願いっ！Glow(グロウ)のマネージャーになって！」
「ほへっ？」

夏休み真っ只中、お姉ちゃんの愛奈(あいな)が急にそう言ってくる。

「ど、どうしたの？急に……」

少し落ち着いてから冷静を装ってそう聞くと。

「実は……Glowのマネージャーがケガしちゃって。今から忙しくなるから……。マネージャーが完治するまで、さ！」

そう言った愛奈は本当に困っていてそうだった。

愛奈は、芸能界関係の会社を立てるのが昔からの夢だったみたいで、二年前に『Glow』っていう男性アイドルグループのデビューとともに『Stella Production(ステラプロダクション)』を設立した。

まぁ、そのことは設立するまで一度も教えてくれなかったんだけどね。

そして実は、私、天海(あまみ)蓮花、高校一年生は『Glow』の最古参であり超絶オタクなんです！

ていうか、愛奈って私が『Glow』のファンって知ってて言ってきてるよね？私を殺す気か何かなの？

「……か………れん……蓮花！」

自分の世界入っていると、愛奈がそう私を呼ぶ声でふと我に返った。

「ご、ごめん。何？」

そう言って聞き返す。

「も～聞いてなかったの～？」

あ、愛奈かわいいっ！25歳なのに許されるこのかわいさぁ！

「あのね、蓮花ってもう高校生になったでしょ？だから、バイトだと思ってやってほしいの。もちろん給料だってそこら辺のバイトより高くするし。夏休みだし、部活も入ってないし、お願いしたいのっ！いいかな？」

そう聞いてくる愛奈はとってもとってもかわいくて、絶対断ってはいけないと思ってしまう。

「う～む、愛奈が困ってるなら、さ。私、Glowのファンだけど、それでもいいな……」
「本当に⁉全然いいよ！決まりね！」

さっきのかわいかったところがすべて嘘のように喰い気味でそう言ってくる愛奈。
か、勝手に決定されちゃったよ……。

「それじゃあ、明日Glowのメンバーを直接紹介したいから……ステラの本社に来てね！」

そう言った愛奈はやっぱりうれしそうで、すべて嘘だなんて思ってしまったことに申し訳なく思った。