実際は、この時点で本社にいたずら電話が何度もかかってきていた。
現状は警察にも相談済みであり、捜索中であった。
その後、大矢が会社を❝自宅待機❞という肩書の謹慎が約1ヶ月くらい経った頃、その犯人は関東で捕まった。
その犯人は女性であり、女は泣きながら警察の事情聴取に答えた。
「わたしも過去に不倫をした独身女の1人です。子どもも不倫相手に促されて堕したし、前いた会社も辞めざるを得なくなって辞めました。不倫をしたことは悪いことだと理解しています…。彼女のことは週刊誌やネットニュースを見て知りました。SNSも調べたらすぐに見つけることが出来ました。SNSには彼女が死ぬまでの経緯、理由や原因も葛藤も全てが書かれており、ひと通り見ることが出来ました。」
「彼女は親から歪んだ愛情の注がれ方をして、愛を誰よりも欲していた。でも拒絶され、見捨てられることに恐怖を抱えていたんです。そんな彼女が一生懸命生きていたのに、不倫男の性欲と理性が保てなかったが故に、不倫がいけないことと頭で理解しながらも別れることを訴えていたのに、妊娠して、中絶させられている。その後は性行為が怖くなって、使い物にならなくなってから相手に物のように捨てられて、彼女は死を選んだ。…なのに。なのに相手の男は会社を辞めることもなく、しかも不倫をしていたことを誰にも告げず、中絶したことも奥さんに伝えず、当たり前のようにのうのうと生きてることが許せなかった。石田朝日さんの死が可哀想でなりません。彼女の生い立ちが、私と重なり頭から離れませんでした。会社に嫌がらせの電話をしたこと、ひとりの社員が不足し、経営に影響を与えてしまったことはちゃんと謝ります。……しかし、相手の男には絶対に謝らない。死んで欲しい。許せない…。地獄に落ちてほしい!死ね!!!死んでしまえ!!」
この女の言葉には批判するものがほとんどだった。
そもそも不倫をしなければいい話。
断れないなんて理由にならない。
避妊もできたはず。
人任せすぎる。
股を開いた時点で自分の意思。
中絶も自分の意思。
同情できない。気持ち悪い。
やはり考え方が異常。
女への意見も含め、さまざまな罵声がなぜか彼女のSNSの裏アカウントに刻み込まれた。
死んでもなお、彼女のSNS上は言葉に埋め尽くされ、今日も誰かが書き込んでいる。
彼女のスマホの通知音が鳴りやむことはない。
彼女がそれを知ったらきっと涙を流すだろう。
ほんの一部のものたちだけは、彼女の気持ちに寄り添ってくれた。
彼女はこの黒くよどむ汚染された水の中に溺れずに済んだんではないかと。
現状は警察にも相談済みであり、捜索中であった。
その後、大矢が会社を❝自宅待機❞という肩書の謹慎が約1ヶ月くらい経った頃、その犯人は関東で捕まった。
その犯人は女性であり、女は泣きながら警察の事情聴取に答えた。
「わたしも過去に不倫をした独身女の1人です。子どもも不倫相手に促されて堕したし、前いた会社も辞めざるを得なくなって辞めました。不倫をしたことは悪いことだと理解しています…。彼女のことは週刊誌やネットニュースを見て知りました。SNSも調べたらすぐに見つけることが出来ました。SNSには彼女が死ぬまでの経緯、理由や原因も葛藤も全てが書かれており、ひと通り見ることが出来ました。」
「彼女は親から歪んだ愛情の注がれ方をして、愛を誰よりも欲していた。でも拒絶され、見捨てられることに恐怖を抱えていたんです。そんな彼女が一生懸命生きていたのに、不倫男の性欲と理性が保てなかったが故に、不倫がいけないことと頭で理解しながらも別れることを訴えていたのに、妊娠して、中絶させられている。その後は性行為が怖くなって、使い物にならなくなってから相手に物のように捨てられて、彼女は死を選んだ。…なのに。なのに相手の男は会社を辞めることもなく、しかも不倫をしていたことを誰にも告げず、中絶したことも奥さんに伝えず、当たり前のようにのうのうと生きてることが許せなかった。石田朝日さんの死が可哀想でなりません。彼女の生い立ちが、私と重なり頭から離れませんでした。会社に嫌がらせの電話をしたこと、ひとりの社員が不足し、経営に影響を与えてしまったことはちゃんと謝ります。……しかし、相手の男には絶対に謝らない。死んで欲しい。許せない…。地獄に落ちてほしい!死ね!!!死んでしまえ!!」
この女の言葉には批判するものがほとんどだった。
そもそも不倫をしなければいい話。
断れないなんて理由にならない。
避妊もできたはず。
人任せすぎる。
股を開いた時点で自分の意思。
中絶も自分の意思。
同情できない。気持ち悪い。
やはり考え方が異常。
女への意見も含め、さまざまな罵声がなぜか彼女のSNSの裏アカウントに刻み込まれた。
死んでもなお、彼女のSNS上は言葉に埋め尽くされ、今日も誰かが書き込んでいる。
彼女のスマホの通知音が鳴りやむことはない。
彼女がそれを知ったらきっと涙を流すだろう。
ほんの一部のものたちだけは、彼女の気持ちに寄り添ってくれた。
彼女はこの黒くよどむ汚染された水の中に溺れずに済んだんではないかと。



