授業中でも、休み時間中でも、いつだって、蒼を目で追ってしまう。
話したい。もう一度。

そんな感情ばかりが頭を支配している。


昼休みになって集まってきた、私に興味のある女子や男子たちに愛想笑いで対応し、私は“ある場所”に向かっていた。

私が興味があると言っても、「波野青月」に興味があるんじゃなくて、「黒崎くんに親しげな女子」である私に興味があるんだと思う。

だって、私に向けられた質問は蒼との関係のことばかりだった。

もう“ある場所”がどこに在るかはもう確認済み。

4階まで上がると、次の階まで上がる階段には、テープで通せんぼしてるみたいで、テープに取り付けられた紙には、立ち入り禁止と書かれていた。だけど、私はそのテープを乗り越えた。

先生に怒られてもいい。そんなことより、蒼の方が私に取ったら大切。

小学生の頃、よく2人で屋上に来ていた。
そこで交わされた会話は、私の頭の中に色濃く残っている。

だから、私は、蒼は屋上にいると思った。

・・・2人きりの屋上なら、思い出の屋上なら、何かを教えてくれる。
そんな気がした。