ねえ、寂しそうにしないでよ

・・・*・・・
中休みを告げるチャイムが鳴って、私は席を立った。
蒼の姿はすでに無い。

さっき、同じように制服を着崩した男子に呼ばれて教室を出て行った。

私がトイレに向かう途中、教室の出口の近くで話している女子の会話が耳に入った。

「ねぇ、あの子、黒崎くんとどう言う関係なのかな?」

「呼び捨てしてたよね。それに、授業中ずっと黒崎くん見てたし・・・ヤバイよね。」

「黒崎くん、2組の御厨くんと喧嘩したらしいよ。御厨くん、殴られて骨折れたらしいし。」

私はなるべく動揺せずに教室を出ようとした。
そこで、蒼がそこに立っていて、女子3人の会話を聞いていることがわかった。

そして、直後、蒼の怒りと冷たさの滲んだ声が響いた。

「なぁ、何話してんの?俺のこと?それとも、青月のこと?」

「蒼っ」

気づいたら呼んでいた。
だけど、何を言おうとしてたのか、忘れた。とうか、何を言うべきか定かじゃないのに、名前を読んでしまっていた。
一瞬で頭が真っ白になって、泡粒となって頭の中で弾けた。