屋上のドアは古くて、とても重かった。
開けると、そとの風がブワッと入り込んでくる。

蒼は、熱心に何かを書いていた。
ノートにペンを滑らせる眼差しはどこまでも真剣だ。

ギィ・・・・と古びた音を立ててドアが閉まる。
その音に気づいたのか、蒼はこちらを見た。

「・・・・・いると思った。」

少しだけ笑みを浮かべながら、私は返事をした。

「やっぱり、蒼は屋上が好きなの?」

「・・・」

答えてくれない蒼に対して、私はさらに質問を重ねた。

「小学生の頃の、屋上での会話とか、覚えてる・・・?」

一度、蒼の好きな人を聞こうと思ったことがある。
そしたら、蒼は恥ずかしそうに、だけどはっきりと、「青月に決まってるじゃん」
って言ってくれた。
その時は、小学6年生だった。そしたら、私は蒼より恥ずかしくなって、ありがとって短く言うことしかできなかった。

そういう思い出とか、1年生の頃の会話とか、ほぼ覚えている。