【改訂版】満月の誘惑





お母様に聞いた、お父様の隠し事の話を出してみると、ポカンとして首を横に振られた。




「隠し子などは居ない。結婚はこれが初めてだ」




このままの勢いで言ってもらえるか期待したけど、何も言われず、私の許可を待っているようだった。


話してもらえないなら、自分で確認しに行けば分かる。お母様のように問い詰めるほど、気が強いわけでもないし。



「…分かりました。この間のように、しんどそうに家に戻ってこられると心配するので、朝でも良いですからゆっくり戻ってきてください」


「ありがとう。じゃあ遠慮なく、ゆっくりするよ。帰ってきたら、お風呂に入りたいんだ。申し訳ないが、結婚式の時にお風呂に入らせてもらった家の主人に頼んでおいてもらえないだろうか?」


「家で入られては?」


「沸かすのが大変だ。柚葉たちに面倒はかけたくない」




面倒なんて、全く思っていない。荘司さんがそうしろとおっしゃるなら、喜んで沸かすのに。


それに今は面倒より、隠し事の方が気がかり。




「…分かりました、聞いておきます。ダメなら家で沸かしますから」




明日、荘司さんが出られたら、少し後ろを付いて行こう。何を隠しているのか、都合によっては突撃して問い詰めるのも有りだ。


両親にも伝えようとしたけど、荘司さんが家を空けることだけを伝えた。




「ふーん、そう」




またか、と言わんばかりに興味がなさそうな返事が来た。


私が荘司さんの隠し事を聞き出したいと言ったから、過干渉はやめたのだろうか。