さよなら、痛みの恋 ― そして君と朝を迎える



「わあ……すごい……!」

 小さな飛行機の窓から見えるのは、青く透きとおる海と白い砂浜。
 降り立ったのは、南の島――ふたりの新婚旅行先だった。

 リゾート地らしいコテージは、緑に囲まれ、波の音が静かに響く。
 日常を忘れさせるような非現実の世界。だけど、隣にはいつもと変わらない彼――悠真がいる。

「まさか、私たちがこんなとこ来られるなんて……夢みたいだね」

 スーツケースを転がしながら、紗夜はくすっと笑う。

「俺も。正直、似合わない気がしてた。でも、紗夜が喜んでくれてるから……来てよかった」

「……ん、ありがとう。いまが、すごく幸せ」