さよなら、痛みの恋 ― そして君と朝を迎える




 告白した日。展望台で見た紗夜の顔は、俺が知っている中でいちばん綺麗だった。


「好き。……悠真のことが、好きだよ」


 涙まじりの笑顔で、俺を見てくれた。

 あの瞬間、心から思ったんだ。


(俺の人生は、この人の笑顔を守るためにあるんだな)

 

 時間をかけて、ふたりで歩いて。ようやく言えた、あの言葉。


「結婚しよう。俺と、これからもずっと一緒にいてくれ」


 あれほど緊張した瞬間はなかった。

 けど、紗夜が「よろしくお願いします」って微笑んだ瞬間、すべてが報われた気がした。

 

 いま、隣で眠っている彼女の寝顔を見ながら、そっと呟く。


「紗夜……お前が笑ってくれるなら、俺は何度でも、あの日に戻って手を伸ばす」


 たとえ最初に戻っても、同じ選択をする。
 苦しくても、怖くても、絶対に見過ごさなかった。

 それくらい、紗夜は――俺の人生の、すべてだ。

 

 朝が来る。

 目を覚ました彼女が、また俺に「おはよう」って言ってくれる。
 そんな未来を、一生守っていきたい。