――それから数ヶ月後。
小さな結婚式。身近な人たちに囲まれ、紗夜は白いドレスに身を包んでいた。
「本当に……夢みたいだね」
「夢じゃないよ。これから、毎朝こうして目覚めるのが“現実”になる」
式が終わり、新居に戻った夜。
ベッドで並んで眠るふたりの手には、あのとき選んだ指輪が輝いていた。
そして迎えた朝。
「紗夜、おはよう」
「……おはよう、悠真」
もう怖くない。
この朝は、これから何千回も続いていく。
きみと迎える朝が、わたしのいちばんの幸せ。
「愛してる、悠真」
「俺も、ずっと、愛してるよ、紗夜」
朝の光の中で、ふたりの未来がやわらかく照らされていた。
── 完 ──



