さよなら、痛みの恋 ― そして君と朝を迎える




 紗夜が顔を上げると、悠真は真剣な眼差しで、ひざをついた。


「いままでは、“そばにいたい”って想いだけで動いてた。でも、これからは――“ちゃんと一緒に生きたい”って思ってる」


 心臓が大きく跳ねた。


「だから――紗夜。俺と結婚してほしい。もう、怖いことも悲しいことも、全部俺が一緒に引き受けるから」


 涙が自然にこぼれた。
 嬉しくて、嬉しくて、声にならなかった。


「……うん。……よろしくお願いします、悠真」



 店内の静けさの中、ふたりはそっと指を重ね合った。