柔らかな陽の光が、カーテンの隙間から差し込む。
ベッドの上、紗夜はまどろむ中で、ぬくもりに包まれていた。
隣にいる悠真の寝息が、規則正しく聞こえる。彼の腕の中は、世界で一番あたたかい場所だった。
数ヶ月前まで、朝が怖かった。
目を覚ました瞬間から、何かに怯えていた。
でも今は違う――この朝が、永遠に続いてほしいと願ってしまうほど、愛おしい。
「……おはよ、紗夜」
目を開けると、悠真が微笑んでいた。寝起きのくしゃっとした髪も、照れたような笑みも、全部が紗夜の心をくすぐる。
「おはよう、悠真」
彼の胸に顔を埋めたまま、囁くように言うと、彼がそっと囁き返す。
「今日は大事な日だな」
「うん。私たちが……“恋人”になった日から、ちょうど一年」



