さよなら、痛みの恋 ― そして君と朝を迎える



  ***

 

 数ヶ月後。

 新しい町、新しいアパートでふたりは一緒に暮らしていた。

 「家族じゃないけど、家族みたい」と笑って話す悠真に、紗夜は首を横に振る。

「ちがう。もう、家族“みたい”じゃない。私は……悠真と、ちゃんと家族になりたいって思ってるよ」

 その言葉に、悠真は少し目を見開き、そして心から笑った。

「……なら、今度の誕生日、ちゃんと指輪、選びに行くか」

 陽射しがカーテン越しに揺れている。
 紗夜の笑顔も、それと同じように、あたたかく揺れていた。

 ――私はもう一度、愛を信じていいんだ。
 そう教えてくれたのは、悠真だった。