さよなら、痛みの恋 ― そして君と朝を迎える




 紗夜は、その背中を見つめながら、そっと悠真の腕に顔をうずめた。


「ごめん、また迷惑かけて……」

「迷惑じゃない。むしろ、そばにいられてよかった。俺がいるって、言っただろ?」


 その夜、紗夜は悠真の腕の中で、静かに涙を流した。

 悲しみではなかった。

 安堵と、救われた心の、熱いしずくだ。