彼は結衣の大学時代の知り合いで、入社時からずっと良き相談相手だった。数年前、告白されたこともあった。でも、結衣は恋愛が怖くて、その気持ちを受け取れなかった。 「大丈夫。ちょっと疲れてるだけ」 そう答えると、飯田はふっと寂しそうに笑った。 「……そっか。じゃあ、無理すんなよ」 (やっぱり、誰にも言えない) 誰にも知られずに始まった関係。誰にも気づかれずに終わってしまうのかもしれない——そんな不安が、結衣を締めつけた。