秋山結衣は、昼休みの終わりに再び自分のデスクに戻った。さっきまで屋上で真尋と交わした会話が、何度も頭の中で反響していた。 「もう、隠れなくていいようにしたい」 あの言葉を信じたい。でも、信じるには、過去の自分がまだ足かせになっていた。 「秋山さん、佐伯課長と仲いいですね」 突然声をかけられ、びくりと肩が跳ねる。 「……え?」 振り返ると、そこには営業部の千葉美里が立っていた。化粧も服装もきっちりした、いわゆる“デキる女”タイプ。だが、彼女の視線にはどこか探るような色が混じっていた。