秘密のままで、あなたと。



 ***


 それから半年経ち結衣は異動希望を出し、東京本社から真尋のいる海外事業部の現地拠点へと転勤した。

 新しい土地、新しい空気、新しい生活。
 けれど、隣に真尋がいるというだけで、すべてが怖くなかった。

 夜、二人で食事をしながら交わした会話は、以前と変わらない。


「やっと、隠れなくていいね」

「うん。これからは、隠すことも、逃げることもない。……全部、ふたりで選んでいく」

「次は、指輪……ちゃんと中身入れて渡すからな」

 「それ、楽しみにしてる」


 笑い合う彼らの指先が、テーブルの下で自然に絡まった。

 ——あの日、秘密のまま始まった恋は。
 今、光の中で、新しい人生を歩み始めている。






                  〈完〉