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それから半年経ち結衣は異動希望を出し、東京本社から真尋のいる海外事業部の現地拠点へと転勤した。
新しい土地、新しい空気、新しい生活。
けれど、隣に真尋がいるというだけで、すべてが怖くなかった。
夜、二人で食事をしながら交わした会話は、以前と変わらない。
「やっと、隠れなくていいね」
「うん。これからは、隠すことも、逃げることもない。……全部、ふたりで選んでいく」
「次は、指輪……ちゃんと中身入れて渡すからな」
「それ、楽しみにしてる」
笑い合う彼らの指先が、テーブルの下で自然に絡まった。
——あの日、秘密のまま始まった恋は。
今、光の中で、新しい人生を歩み始めている。
〈完〉



