秘密のままで、あなたと。




 *

 数週間後。日曜の午後。
 真尋が一時帰国するタイミングに合わせて、結衣は両親と真尋の“初対面”の場を設けた。
 緊張のあまり、前日はほとんど眠れなかった。

 けれど、思いのほか父も母も穏やかだった。
 真尋が誠実な口調で、これまでの経緯と今後の想いを語ってくれたからだった。


 「結衣さんのことを、本当に大切に思っています。……どうか、これからも見守っていただけたら」


 彼が深々と頭を下げた瞬間、父がぽつりとつぶやいた。


 「君の目を見ればわかる。うちの娘が選んだのなら、俺は信じるよ」


 その言葉に、結衣は思わず涙ぐんだ。


 (“信じる”って、こんなにもあったかい言葉なんだ)


 ずっと怖かった。
 疑われることも、裏切られることも。

 でも今、隣にいてくれる人は、そんな自分の全部を受け入れてくれる人だった。

 ——もう、“過去の私”じゃないのだと思えた。