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数週間後。日曜の午後。
真尋が一時帰国するタイミングに合わせて、結衣は両親と真尋の“初対面”の場を設けた。
緊張のあまり、前日はほとんど眠れなかった。
けれど、思いのほか父も母も穏やかだった。
真尋が誠実な口調で、これまでの経緯と今後の想いを語ってくれたからだった。
「結衣さんのことを、本当に大切に思っています。……どうか、これからも見守っていただけたら」
彼が深々と頭を下げた瞬間、父がぽつりとつぶやいた。
「君の目を見ればわかる。うちの娘が選んだのなら、俺は信じるよ」
その言葉に、結衣は思わず涙ぐんだ。
(“信じる”って、こんなにもあったかい言葉なんだ)
ずっと怖かった。
疑われることも、裏切られることも。
でも今、隣にいてくれる人は、そんな自分の全部を受け入れてくれる人だった。
——もう、“過去の私”じゃないのだと思えた。



